2014年度 実習生
研修生  写真 H26.10.22
鳥大医学部医学科 4年生
岡林 祐子
今回の実習では、朝の病院カンファレンスの参加と訪問診療への同行をさせていただきました。
 まず朝のカンファレンスでは、前日診療した患者さんの診察結果など、病院の医師・看護師・医療事務の全員で共有しました。ひだまりクリニックでは医師が診察する患者さんを複数のエリアで区分しています。
 そのため、患者さんが自宅からグループホームに移った場合などで診察する医師が変わることがあります。従って病院のスタッフ全員での患者さんの情報共有は大変重要なことでした。
 また、その後の訪問診療では患者さんの自宅やグループホームに伺いました。
 今回は、私が訪問診療に接する初めての経験でした。診療の様子を見学していると、訪問診療の患者さんが外来受診することは、大変大きな負担になることを痛感しました。ベッドから動けない・認知症を患っている、などの理由があれば当然のことでしょう。訪問診療はこれからの時代が求めている医療であると実感した一日でした。
 私は高校生の時から小児科医になりたいと思っており、現在でも医師となった折には専門医の資格を取りたいと考えています。
 そのため、患者さんは高齢者が多い・総合診療医・在宅医療・訪問診療などが主題となっている今回の実習は自分の将来の志望とは良い意味で対局にあるものでした。
 実習を終えて大変良い経験を得たと考えていますが、中でも印象に強く残っているのは、ひだまりクリニックの医師が総合診療医を目指した理由でした。
 その先生は初め耳鼻科医として働いていらっしゃったようですが、患者さんを診ていく中で本当の耳鼻科医しか診られない病気はごくわずかしかなかったということです。
 それよりも、アレルギー性鼻炎や風邪のような内科的治療で対処できるような疾患は、同じ医師が診た方が薬の重複を避けることができ、患者さんが複数の外来を受診する手間を省くことができます。この話を聞いて、総合診療医は患者さんの求める医療の一つであると感じました。
 今回得た経験は自分の将来を考える一助としていきたいです。
研修生  写真 H26.10.22
鳥大医学部医学科 4年生
坂野 悠
朝にカンファレンスに同席し、今日診療を行う患者さんに関しての情報を医師の先生と看護師の方々の間で共有しました。前回診療を行った時の患者さんの様子を細かく伝えていました。
 その後、訪問診療を行う患者さんのご自宅へと同行し、在宅医療の現場を見学させていただきました。医師や看護師の方がバイタルを取ったり、サチュレーションを計測した後、患者さんやそのご家族とのコミュニケーションを取ったうえで今後の治療方針を決定している様子を見学させていただきました。午前に三件、午後には六件の家を訪問しました。中には老人ホームなどの施設で生活されている患者さんのところに行くこともありました。
 午後の診療を終えた後、薬の説明会に参加して、ぜんそくの吸入薬に関する説明を聞かせてもらいました。
 今まで学校の授業の一環として、色々な医療の現場を見学させてもらったが、在宅医療という医療形態を実際に目の当たりにしたのは初めての体験だったのでとても新鮮でした。
 在宅医療を見学して思ったのは、普通の病院で診療するのとは違って、在宅医療というのはより患者さんの懐に入り込んだものだということでした。病気をただ診るだけでなく、その周りの家族環境への理解が大切なのだと感じました。一概に家族環境といっても様々で、家族構成だったり、家族の介護力、家族の性格やそれに伴う家族間での関係性などの細かい部分にまで入り込んで、相手を知っていかないといけないのが在宅医療なのかなと思いました。同じ病気を持った患者さんがいても、同じ治療をすればいいとは限らなくて、その人に合った治療プランを考えていくことに魅力を感じました。
 個人的な反省点としては、もっと医師の先生や看護師の方だったり、患者さんやそのご家族とコミュニケーションが取れたらよかったかなと思いました。
研修生  写真 H26.10.29
鳥大医学部医学科 4年生
堀 千紗
午前中はカンファレンスに出席しました。そこでは医師や看護師による、本日訪問する患者さんの前回の訪問時の状態(症状、バイタル、食事、便通など)や薬、リハビリの状況について申し送りし、職員全員で患者さんの把握にあたっておられました。
 そのあと、前田先生の訪問診療を見学しました。移動中に患者さんの病気や状況について説明していただき、背景を理解したうえで実際に患者さんのもとへ訪問しました。在宅医療では病院でする精密検査はできないことが多いので、症候から病気を推測し、薬の効果を見て病気を確定させていきます。その過程で投薬の順番や、薬の副作用についても考える必要がある、という言葉がとても印象に残っています。
 午後は畠先生の訪問診療を見学しました。急患で集団感染が起きた老人ホームを訪問した際、認知症の方をいつでも見守れるようにと広間の一角に昼寝する場所を設けて、そこで利用者が集まって寝ていたら感染が広まってしまったという事情を聞いて、配慮した結果さらに別の問題が起きるのは皮肉だなと認知症の方の介護の難しさを感じました。
 ひだまりクリニックが行っている在宅医療は、通院・入院はしたくない(またはできない)患者さんが主な対象です。脳の変性疾患や脳梗塞による片麻痺など、急性で病気がすぐに治るのではなく、慢性的で人生の終わりまでその病気と付き合わなければならない状態の患者さんやそのご家族がどのように過ごしたいかで病院ではなく家や施設を選ばれています。入院中は寝たきりだった方が家に帰ると元気になることも珍しくないという話を聞き、病院ではなく家で余生を過ごしたいという望みがどれほど強く、また、それを実現しようという、ひだまりクリニックの意志も感じました。さらに患者さんのご家族や介護施設の職員さんなどから訪問診療があることで助かっているという言葉も聞き、患者さんの周囲にも訪問診療はプラスになっているとわかりました。
 私がいつも受けている講義は大学病院の先生方がされているため外来や病院でいかに病気を治すか、というのが中心ですが、今回の実習ではその観点とはまた違った在宅医療について学べてとても良い経験になりました。ありがとうございました。
研修生  写真 H26.10.29
鳥大医学部医学科 4年生
小西 貴博
今回の実習では訪問診療・在宅診療の現状を知ることができました。
 一日の実習は前日のカンファレンスから始まりました。傍で話を聞いていましたが、患者さんの年齢の幅が広いことに驚きました。100歳超える患者さんは珍しくないということでした。
 カンファレンスが終わると、午前と午後に分けて各2チームの訪問診療へ車で出かけました。基本的にはそれぞれの患者さんのバイタルを確認することがメインでしたが、中には胃ろうチューブの交換や、採血を行ったりと在宅診療とはいえど、特別な処置をするのではなく、病院の診察室と同じであることに気付きました。
 実習は夕方頃まででしたが、24時間365日対応しているということだったので、実習ではわからないくらい大変なのかと思いました。
 今回、1日だけではありますが、訪問診療を体験させていただきありがとうございました。まだまだ勉学の途中ではありますが、一日を通して感じたこと、思ったことについて書きたいと思います。
 まず、先生方の話を聞いて「訪問診療」に対するイメージが大きく変わりました。これまでのイメージは「無医村の地区を聴診器1つ持って、自転車で診て回る」というものでしたが、3人の先生方は外科系の出身で、時には気管切開や胃ろうを行うなど、外科手技も行うと知りました。同行してみて、勿論、内科的な基本的な問診やバイタルの確認は行い、各患者さんが持っている健康手帳のようなものに記載し、持って行ったパソコンに記録し、情報を共有していました。それを見て、自分の考えが時代錯誤なもので驚きました。
 また、「地域医療」については現在実習・講義を通して学んでいるところではありますが、その重要性や中身をより具体的に感じることができました。すべての患者さんが病院に来られるわけではなく、寝たきりで、しかし医療を求めている人は案外身近にいることを知りました。これからはそのことを頭の片隅において勉学に励みたいと思います。
研修生  写真 H26.11.5
鳥大医学部医学科 4年生
井上 藍
ひだまりクリニックは在宅医療専門の病院ということで、1日で9人の患者さんを診させて頂きました。
 まず朝8時30分から医師、看護師そろってのカンファレンスが1時間ほどあり、そこでそれぞれの受け持ちの患者さんの様子を共有します。その後医師3チームと訪問看護チームに別れて1日訪問診察します。在宅といっても個人の家を回るだけじゃなく、グループホームなどの施設にも往診に行きます。癌の末期だけれども入院をあまりしたくないので1人暮らしをしているおばあちゃん、母と娘で二人で暮らしておられる方、末期がんの不穏症状で急患の方など、様々な方を診させて頂きました。気管チューブの交換、PEG、尿道カテーテルの交換など、初めて見ることもたくさんありました。これからの臨床実習では絶対に出来ないような貴重な体験をすることができました。
 全体の感想として、同じ病態の患者さんでもその方をフォローする家族の状態によって、対応の仕方が全く違うということが印象に残りました。
 カンファレンスでも患者さんの状態を話し合うのはもちろんですが、その介護者の方のことも同じ位の時間をかけて話し合っていることにまず驚きました。実際に在宅医療の現場に行ってみると老老介護のご家族も多く、介護する奥様やお子さんも何かしらの病気を抱えていることも少なくなく、患者さんのケアと同じくらい介護者さんのケアも大切だということを実感しました。
 また印象的だったのが、ご主人を自宅で介護するようになってから4ヶ月の奥様が、診察の途中で辛い辛いと泣き出してしまったことです。正解のない在宅医療の現場を見させていただくとても貴重な時間となりました。
 ひだまりクリニックさんに行かれて本当に良かったです。ありがとうございました。
研修生  写真 H26.11.5
鳥大医学部医学科 4年生
吉田 里穂
県下初の在宅医療専門クリニックで、米子市内で行われる在宅医療の現場を体感する貴重な経験をさせて頂きました。
 福田院長先生が執筆された在宅医療に関する本を頂き、本の内容と照らし合わせながら実際の訪問診療を目の当たりにして非常に勉強になりました。
 まず始めに、朝のカンファレンスに参加しました。福田先生直々に解説をして頂きながら、前日の訪問診療・看護の報告と今日診られる方の情報共有を1時間かけてスタッフ全員で行われていることに大変感銘を受けました。
 その後、午前は福田先生の訪問診療、スタッフさんとご一緒した昼食を挟み、午後は畠先生の訪問診療を見学させて頂きました。看護師さんの運転で、車尾にあるクリニックから米子市内を中心に、遠い所では境港市まで移動されており、患者さんのご自宅やグループホームなど、日によっては10軒も回られるそうで、想像をはるかに超える訪問数に驚きました。
 在宅医療と一言でいっても、介護が必要な方への医療から、24時間365日体制で急変時の対応から在宅ターミナルケア・看取りまで内容は多岐にわたり、患者さんとご家族を見守る地域に根付いた在宅医療の魅力と重要性を再確認しました。
 米子市内に自宅医療を専門にされているクリニックがあることを今回の実習で初めて知り、貴重な機会に恵まれたと感じております。訪問診療の現場に同行させて頂き、先生方を始め職員の皆様に大変お世話になり、心より感謝申し上げます。
 在宅医療の内容では、個人的には訪問診療やターミナルケアが主なイメージだったのですが、緊急の依頼に24時間体制で訪問する往診体制の存在・重要性を知ることが出来ました。患者さんやご家族が安心して生活する際に、医療機器管理や胃瘻、中心静脈栄養、尿バルーンなどの体調管理、薬の管理も行わないといけない中で、在宅医療体制の充実は必須です。先生と看護師さんの息の合った連携、ご家族やスタッフさんとの関わりも拝見し、多職種連携や患者さんを支える家族・スタッフさんへの対応、配慮あってこその医療だということも強く感じました。
 少子高齢化社会、自宅での介護や看取り・・・今後、在宅医療のニーズは更に急速に高まっていくものと思います。私も患者さんを治療するだけでなく、地域での生活を支える医療を実践できる医師になりたいと感じました。
 1日を通して、ご多忙の中、熱心にご教授賜り、誠にありがとうございました。
研修生  写真 H26.11.12
鳥大医学部医学科 4年生
乾 元気
今回実習をさせていただいたひだまりクリニックは訪問診療専門のクリニックで、外来を一切行わないという初めて見る形態のものでした。
 実際鳥取県で訪問診療を専門に行っているのはひだまりクリニックだけということで、米子市内はもちろん境港まで範囲が及び、まず移動時間の長さを感じました。一人あたり15分ほどの診療時間ですが、移動を合わせると一人大体30分かかり、一日では10分ほどしか回ることができません。
 しかし、これを外来に来られる患者さんの立場で考えると、この移動時間に加え診療前の待ち時間などあわせると半日はつぶれてしまいます。そのため訪問診療は非常に患者さんに利益の多い診療形態だと感じました。
 診療内容は、バイタル、患者さんの状態の変化の確認、薬の処方が主なもので、今の時期は予防接種の時期ということで、インフルエンザワクチン注射も行っていました。診療中はとてもアットホームな雰囲気で、ご家族に伺うため患者さんも、家族も比較的緊張感がなく、より親密な関係を築きやすいのではないかというように思いました。
 また、より普段の生活を知れることで少しの変化にも気づきやすいこともあるだろうというように感じました。
 今回の実習で、これが本当の医療人と患者さんの信頼関係かと感じたエピソードがありました。ある患者さんの誕生日にプレゼントを贈られていたことです。この出来事自体は他でもみられることなのかもしれませんが、私の目には全く違った風に見えました。
 まず、患者さんとお会いした時に、患者さんが先生方を待ちわびていたような雰囲気があり、先生方も友達に会いに来たような感じで、とてもアットホームな雰囲気がすぐに広がりました。
 そして、プレゼントを渡されていたのですが、本当にクリニック全体で患者さんのことを考えたものだったということがこちらにも伝わってきて、患者さんも非常に喜ばれておられました。
 よく患者さんとの信頼関係が大事といわれますが、今までこれほどまでの信頼関係は見たことがなかったし、外来ではここまでの関係を築くのは難しいのではないかと思います。やはりここは訪問診療の大きな強みであり、これからの将来患者さんが求めるものであると思います。もちろんそれは形態だけの話ではなく、先生方の患者さんに対する姿勢も大きな一面であり、私もその姿勢を見習っていきたいと思いました。
研修生  写真 H26.11.12
鳥大医学部医学科 4年生
藤澤 亮裕
ひだまりクリニックは訪問診療専門のクリニックで、実習も訪問診療の見学をさせていただきました。
 訪問診療には一人の医師と一人または二人の看護師が同行して患者さんのお宅、または入居中の施設に伺っておられました。
 ひだまりクリニックでは一人の患者さんを複数の医師で診ることも多く、一人の患者さんの状態を共有するためにも朝のカンファレンスが重要になっています。
 患者さんのところに到着すると、現在加療中の部位があればそこを確認しながら体調を確認したり、世間話をしておられました。診療内容は聴診と触診とバイタルチェックくらいの簡単なもので、ご家族の希望で薬を追加したり変更したるするというものです。この時に、看護師さんはケアノートにその日のバイタルや処置内容、状態などを記し、訪問看護やヘルパーの方との情報共有に活用していました。
 実習前は訪問診療にはあまり詳しい知識もありませんでしたが、実際の訪問診療を見学させていただいてその重要性がわかり一層の興味がわいてきました。
 一番驚いたことは、ご家族の熱心な気持ちと知識が豊富だったことです。もちろんすべてのご家族がそうであるとは限りませんが、私が同行させていただいた患者さんのご家族はとても熱心なかたばかりでした。在宅療養を行うにはご家族の協力が不可欠で、その他に看護師の方やケアマネージャーさんや介護福祉士の方など、様々な職種の方も関わっていることで医師一人の負担も軽くなっているそうです。
 また、高齢者の方が多いのでたくさんの疾患と付き合いながらの診療になるということも学びました。
 将来は自分も訪問診療に興味があるので、今回の実習の経験を大事にしたいと思います。